例外集の作り方【汎用版】
AIと人間が事故る場所を「資産」に変える再発防止プロトコル
この記事が想定する読者:AIや人が同じところで何度もミスするのを減らしたい、条件付きのルールを共有したい担当者。
判断を誤るとどうなるか:例外を「知識の寄せ集め」で書くと、いつ適用するかが曖昧で、AIも人も参照されず事故が繰り返す。先に「いつ例外か」を条件で書き、定型文と一次情報を添えると失敗しにくい。
AIで文章や資料を作るとき、失敗の多くは"能力不足"ではありません。
例外(条件分岐)を扱えないことが原因です。
- 原則はこうだけど、ケースによって違う
- この表現は使っていいが、ここではダメ
- 価格は出せるが、条件が揃わないと出せない
- この領域は断定できない(法律・医療・規約・保証など)
AIも人間も、事故る場所は同じです。
だから、対策も同じになります。
「例外」を条件付きで明文化し、再発を止める
これを実現する仕組みが 例外集です。
例外集とは何か
例外集は「知識の寄せ集め」ではありません。
判断の再現性を作るための、条件付きルール集です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 基本はこう |
| 例外 | でもこの条件ではこう |
| 書き方 | そのときはこう言う(定型文) |
| 根拠 | 参照すべき一次情報(規約・仕様・公式情報など) |
この形式にすると、AIも人も迷わなくなります。
例外集がない現場で起きること
- レビューで毎回同じ指摘が出る(疲弊)
- 新人が事故る(属人化)
- AIが"それっぽい断定"をする(信頼毀損)
- 条件分岐が人によってブレる(品質が安定しない)
例外集は、ここを止めます。
最小で回る「3ステップ」
ステップ1:例外を"事故ログ"から拾う
会議で考えるより、ここから拾う方が強いです。
- 差し戻し(レビューコメント)
- お客様からの質問(FAQ候補)
- クレームや誤解が起きた箇所
- 「毎回補足してる」ポイント
"実際に困ったところ"が、そのまま例外候補です。
ステップ2:例外カードを作る(テンプレ固定)
自由記述だと使われません。カード形式で固定します。
例外カード(テンプレ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原則: | ____ |
| 例外: | ____ |
| 例外が起きる条件: | ____ |
| 出力時の注意文(定型): | ____ |
| 参照一次情報(URL / 文書名): | ____ |
| 影響範囲: | 記事 / FAQ / 提案 / 契約 / 価格 など |
| 登録日 / 登録者: | ____ |
ポイントは 条件 と 定型文。
ここがないと、例外集は"ただのメモ"になります。
ステップ3:運用ルールを決める(増やし方)
おすすめはこの2つだけで十分です。
- 同じ指摘が2回出たら、例外カード化(必須)
- 月1回、統合・整理(増えすぎ防止)
これで「事故が資産化」され、再発が止まります。
例外集に入れるべき「汎用カテゴリ10」
どんな会社でも事故りやすい領域です。
| # | カテゴリ | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 価格・見積 | 条件が揃わないと断定できない |
| 2 | 保証・成果 | 成功保証表現の禁止 |
| 3 | 規約・契約 | 一次情報確認が必須 |
| 4 | 法務・医療・金融 | 断定禁止、注意書き必須 |
| 5 | 数値・統計 | 出典と条件がない数字は禁止 |
| 6 | 比較表現 | 他社批判・煽りの禁止 |
| 7 | 対象範囲 | 業種・規模・前提で変わる |
| 8 | 公開可否 | 事例・固有名詞・内部情報 |
| 9 | 例外の例外 | 特殊条件の取り扱い |
| 10 | 最新性 | いつの情報か、更新日 |
まずは自社で事故りやすい上位5〜10件だけ作ればOKです。
例外カードの例【汎用】
例1:価格を断定しない(条件未確定)
- 原則: 価格は分かりやすく提示する
- 例外: 要件・範囲・条件が未確定なら固定価格を断定しない
- 条件: 初回相談/範囲が揺れている/複数案があり得る
- 定型文:
「費用は前提条件により変動します。目的・範囲・条件を整理した上で、適切な範囲で見積もります。」
- 一次情報: 料金ページ/見積方針
例2:成果保証をしない
- 原則: 成果を目指す
- 例外: 成果を保証する表現は禁止
- 条件: 広告・SEO・制作・コンサルなど成果が環境依存の領域
- 定型文:
「成果は市場・競合・実行体制など前提に左右されます。前提を揃え、仮説検証で再現性を高めます。」
- 一次情報: 利用規約/表現ガイド
例3:数字は出典と条件がセット
- 原則: 数字で説明する
- 例外: 出典不明の数字は出さない
- 条件: 相場、平均、成功率、市場規模など
- 定型文:
「数値は出典と条件が揃う場合のみ記載します。不明な場合は推測せず、確認手順を提示します。」
- 一次情報: 公的統計/公式資料
例外集を"生きた資産"にするコツ
- 短く: 1カード30秒で読める
- 条件で書く: 言い回しではなく「いつ例外か」
- 定型文を持つ: 迷いを消す
- 一次情報を添える: AIも人も照合できる
- 事故ったら追加: 改善が積み上がる
判断の土台として押さえておくこと
- 原則・例外(条件)・定型文・一次情報の4つを1セットで書く:例外だけ書かず「どの条件のときか」「そのときはこう言う」と参照元を揃える。
- 「いつ例外か」を条件で書く:言い回しの禁止ではなく、「この領域・この前提のときはこうする」と判断できる形にする。
- 差し戻し・クレーム・毎回の補足を例外候補にする:会議で考えた理想より、実際に事故ったところから拾い、追加し続ける。
次の一手:AIコンテンツ品質管理/AI運用のKPI設計/前提設計の基礎
AI品質を安定させる最短ルートは例外の資産化
AI品質を安定させる最短ルートは、プロンプトではなく 例外の資産化です。
例外集があると、AIも人も「同じ場所で二度事故らなくなる」。
AI時代の文章品質管理(一次情報の固定・不確実性ルール・二段階生成・レビュー条件化)とあわせて運用すると、ハルシネーションと例外事故の両方を仕組みで抑えられます。例外集の蓄積で学習率を測る方法は、AI運用のKPI設計で扱っています。AIの性能を「栄養と規律」で設計する考え方は、AIは優秀な新人で解説しています。