2026年10月8日に、OpenAIの現行プロンプト設計ガイドを再読しました。指示、例、文脈を整理すると点検しやすくなりますが、生成は非決定的で、モデルや版が変われば同じ入力への応答も変わり得ます。この記事の5カテゴリ、最大5問、二段階生成は不足を可視化するFirst byteの整理例で、質問数だけで正確性・情報保護・全業務の効果を保証するものではありません。
AIに「不明点があれば質問してください」と頼んでも、何を確認するかが曖昧なままでは、必要な資料を聞かずに文章を完成させることがあります。反対に、すべてを質問にすると、人が答える負担が増えます。
この記事で設計するのは、答えの品質に影響する不足を見つけ、確認できる人へ渡し、未確認のまま確定しない流れです。質問の数を増やすこと自体を目的にしません。
30秒で要点
- 目的・読者・制約・参照元・成功条件の5カテゴリで、不足を整理します。これは文章業務のための整理例で、どの仕事にも十分な規格ではありません。
- 最初に質問と構成を出し、人が条件を確認してから本文へ進みます。重要な未確認事項は、質問数の上限に達しても消しません。
- 質問させる指示だけで、正確性や情報保護は保証できません。資料の照合、公開の承認、変更後の評価を別に残します。
前提設計とは、目的や守る条件、判断の基準を、作業の前に言葉にすることです。ここでは文章、提案書、FAQ、マニュアルの下書きを想定します。契約の確定や本番操作をAIに委ねる手順ではありません。
質問は、何が不明かを見えるようにする
OpenAIのプロンプト設計ガイドは、指示、例、文脈を整理する方法と、生成結果が非決定的であることを説明しています。指示を明確にしても、すべての入力で同じ品質になるとは限りません。モデルや版の違いも確認の対象です。したがって、「質問を5つさせれば事故が減る」とは言い切れません。情報の不足に加え、参照資料の誤り、条件の読み違い、生成した事実の誤りもあり得ます。AIの質問が出なかったことを、必要な情報がすべてそろった証明にしないでください。
例えば料金案内を書く場面で、旧資料と現行資料の金額が違っていれば、文章を整える前に対象期間と承認済みの資料を確認します。「公式資料だから必ず新しい」とも、「更新日が新しい方が必ず優先」とも決めません。どの商品・契約・期間に適用する資料かを照合します。
不足を探す5カテゴリと、具体的な聞き方
各カテゴリを一問に圧縮する必要はありません。すでに分かっていることは再質問せず、結論が変わる不足を選びます。
表が収まらない場合は、横にスクロールできます
| カテゴリ | 確認したいこと | 質問の例 |
|---|---|---|
| 目的 | 出力を使って何を判断するか | 読後に、比較できればよいですか、それとも申込手順を理解してほしいですか |
| 読者 | 知識、立場、今困っていること | 初めて知る人、比較中の人、実行直前の人のどれを想定しますか |
| 制約 | 公開範囲、禁止事項、形式 | 未公開の価格や顧客名は含められますか。使わない表現はありますか |
| 参照元 | 根拠とその適用範囲 | どの承認済み文書を使いますか。対象商品・期間・更新日は何ですか |
| 成功条件 | 人が確認できる合格と差戻しの条件 | 根拠と一致すること以外に、読者が何を説明できれば合格ですか |
目的:出力の用途から逆算する
「問い合わせを増やす」は事業上の目的ですが、一本の原稿を見ただけで達成を判定できません。原稿の合格条件としては、「対象者、提供範囲、申込前の確認事項を説明できる」のように確認可能な形へ分けます。成果を測るときは、公開後の対象や期間を別に設計します。
「誰に何を起こしたいか」「増やしたい理解、減らしたい不安は何か」を聞き、出力の役割を一つ決めます。提案書なら、読み手が予算を承認するのか、候補を比較するのかによって必要な情報が変わります。
読者:選択肢を出しても、決めつけない
「初心者・比較中・実行直前」のような選択肢は、回答の入口として使えます。ただし「その他」「まだ分からない」を残し、選択肢に合わない人を無理に分類しません。職種、前提知識、困っている作業を短く追記できるようにします。
選択式が常に速いという一般化はせず、実際に回答しにくかった質問を見直します。必要以上に個人情報を聞くのではなく、文章の判断に必要な範囲に絞ります。
制約:文体より先に、扱える情報を決める
「煽らない」「短く」は文体の条件です。それとは別に、未公開情報を使ってよいか、実績を社名付きで公開できるか、価格や保証を確定できるかを確認します。これらが不明なら、該当箇所の生成や公開を止めます。
AIへ「秘密を書かない」と指示することと、そもそも入力してよい情報を選ぶことは別です。利用サービスの契約や組織の取り扱いルールに従い、入力前にも確認します。文章の中に禁止事項を書くだけでアクセス権限を制御できるとは考えません。
参照元:URLだけでなく、どの記述を使うか
資料名、URL、発行主体、更新日、対象となる商品や期間を付けます。読む権限や取得手段がない資料は、読んだことにせず、担当者へ必要部分の確認を依頼します。URLを渡しただけでAIが本文を取得したとも限りません。
矛盾が見つかったら、資料名と食い違う箇所を並べ、確認担当を決めます。根拠のない金額を「仮に」と本文へ混ぜるのではなく、資料確認が必要な事実と、明示的な架空例を分けます。一般的な構成案だけなら先に作れる場合もありますが、未確認の事実を確定文にしません。
成功条件:好みと事実の差戻しを分ける
「読みやすい」だけでは、人によって評価が変わります。数値が資料と一致する、対象外の条件が残っている、読者が手順を追える、といった確認項目を決めます。語調の好みと、誤った数値や無断公開は、同じ重さの修正ではありません。
価格、契約条件、統計値、公開可否などに要確認タグを付けるなら、そのタグを誰がいつ外すかまで決めます。タグを付けた下書きを、そのまま公開してよいという意味ではありません。
一度に5問を目安にしても、重大な不足は保留する
ここでは、最初の往復を扱いやすくするために「一度に最大5問」を例にします。5という数に、全業務で品質が上がる根拠があるわけではありません。十分な入力なら質問はゼロでも構いません。
優先するのは、数ではなく回答が変わる点です。公開権限、個人情報、契約条件などの重大な不足があれば、目的や語調の確認より先に扱います。通常の文章下書きなら、目的・読者・参照元・制約・成功条件の順に眺め、不足が大きい項目から選ぶ方法もあります。
5問では足りない場合は、残りを未解決一覧にして「事実の確定は保留」と返します。回答者が分からない場合も、もっともらしい値を埋めず、どの文書・担当に確認するかを示します。確認先が不明なら、そのこと自体を保留理由にします。
二段階のテンプレート:設計を確認してから本文を書く
次はコピーして調整できる文章用の教材です。プログラムではなく、指示への追従や効果を実証したものでもありません。機密情報を入力せずに試してください。
第1段階:質問と構成だけを出す
目的:[読者に理解・比較・判断してほしいこと]
読者:[立場、前提知識、現在困っていること]
制約:[公開可能な情報、禁止事項、形式]
参照元:[文書名、URL、対象、日付、優先する根拠]
成功条件:[根拠の一致、読者の理解、差戻し条件]
本文の生成前に、入力に既にある情報を整理してください。
判断を変える不足を、今回は最大5問まで質問してください。
重大な未確認事項は上限に達しても省略せず、保留一覧に残してください。
選択式には「その他・不明」を含めてください。
資料を取得できなかった場合は、読んだと扱わないでください。
出力:確認済み条件/質問と確認先/構成案/保留事項。
人の確認が済むまで、価格・保証等を確定した本文は書かないでください。
第2段階:確認済み条件を渡して下書きする
以下の確認済み条件と参照元だけを使い、本文の下書きを作ってください。
[第1段階の回答、確認担当、参照した文書と該当箇所]
事実、根拠からの推論、明示的な架空例を区別してください。
未解決の価格・契約・公開可否を推測で補わないでください。
重要な不足が残る場合は該当部分を保留し、確認事項を返してください。
出力:本文案/主張と参照元の対応/未解決事項。
公開の確定は人が資料と照合して行います。
会話を分ける場合は、確認済み条件を改めて渡します。前のやり取りを、別の会話や利用環境が必ず引き継ぐと想定しません。第二段階でも新しい矛盾が見つかれば、第一段階の確認へ戻します。
架空の料金案内で、停止する場所を確かめる
例えば「小規模事業者向けの料金案内を書いて」と依頼し、対象の違う二つの料金資料が渡されたとします。目的と読者は分かっても、どちらの条件が適用されるかは未確定です。この場合、AIが平均を取った金額を作ったり、新しい日付だけで選んだりする出力は採用しません。
まず「どのプラン・契約開始日に適用するか」「責任者が承認した参照元はどれか」を確認します。回答が来るまでは、案内の構成と確認先を示すところまでにします。回答後は、対象プラン、価格、除外条件を原文と照合し、要確認タグを外せる担当が公開を判断します。
この例の成功は、質問を五つ出したことではありません。対象の違う資料を混ぜず、不明な価格を確定せず、誰に聞くかが残ったことです。実際の業務で同じ動きになるかは、利用環境ごとに確認が必要です。
最小検証:質問の数ではなく、残った誤りを見る
OpenAIの評価ガイドも、課題に合う評価、成功基準、人の判断との照合を重視しています。自分の業務でも、最初は次の異なる条件の教材で動きを観察できます。表が収まらない場合は、横にスクロールできます
| 入力条件 | 確認したい出力 | 採用しない出力 |
|---|---|---|
| 必要な資料と条件がそろう | 不要な再質問をせず、根拠に沿った下書き | 毎回、形式的に5問を作る |
| 料金資料が矛盾する | 適用範囲と確認先を示して保留 | 金額を推測して確定する |
| 根拠へアクセスできない | 未取得と必要な確認を示す | 読んだように出典を付ける |
| 重大な不足が5問を超える | 上限外の不足も一覧で残す | 5問以外を確認済みにする |
これは小さな動作確認で、網羅的な安全性評価ではありません。同じ条件でも複数の出力を見て、誤った断定、必要な質問の漏れ、無駄な往復、人の確認時間を記録します。テンプレやモデルを変えたときも、同じ入力と判定基準で比べます。質問が増えても重大な誤りが残るなら、資料の整理や担当者の承認方法から見直します。
根拠と承認の責任はAIレビューの設計、任せる範囲はAIの権限設計へつながります。質問は、人の判断を代わりに済ませるものではなく、判断に必要な不足を見えるようにする道具として使ってください。