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AI活用・LLM

AIができること・できないこと|業務で確かめる判断基準

2025年11月28日
最終更新: 2026年10月19日
13分で読めます

この記事でわかること

AIができることと限界を、分類・分析・反復作業・生成の具体的な業務に分けて解説します。全体の合格率と重要な例外、AI処理と人の確認・再作業を図と架空例で比較。下書きから実行までの権限、保留と停止、評価用案件の分け方を示し、創造性や共感への断定を避けながら、中小企業でも現実的な期待値と導入範囲を決める手順を整理します。

文章の下書きは速くできたのに、確認と修正で元より時間がかかった。通常の問い合わせには答えたのに、契約の例外を見落とした。AIの導入では、「できる」と「その業務で任せられる」の間を確かめる必要があります。

この記事では、分類・分析・反復作業・生成という使い方を整理したうえで、品質、確認の負担、権限、費用を評価する方法を示します。以下の数値例は、すべて説明用に作った架空例です。

30秒で要点

  • AIの適性は「創造的だから不可」「反復だから可」という二択では決まりません。具体的な課題と確認できる出力を決めます。
  • 分類、文書や画像の処理、下書き、分析支援などを試せますが、製品、入力、道具、利用条件で性能が変わります。
  • 読みやすい返答や全体の合格率だけでは、重要な例外の見落としは分かりません。
  • AIの作業時間に、確認・修正・再作業を足して比較する。生成が速いだけで効率化とは呼びません。
  • 能力の評価と実行の権限を分け、保留、引き継ぎ、停止の担当を先に決めます。

どこから読むか — 自分の状況から選ぶ

この記事は「できる/できない」を業務単位で確かめる判断軸までを扱います。具体的な局面はそれぞれ別の記事にあります。 いま自分が決めようとしていることに近いところから入ってください。

用語の段階で詰まっている。 まず語を揃えるならAIと機械学習の違い、さらに手前からなら超初心者向け:AI/LLMって何?。なぜ答えが出てくるのかはAIの推論と学習で扱っています。

どのモデル・どの構成を選ぶか決めたい。 一覧から絞るなら2026年 最新AIモデル比較。ベンダー公表値と独立機関の数値が食い違う場合の優先順位はベンダーの数字と独立機関の数字、オープンウェイトを「無料だから有利」と判断してよいかは総所有コストで考える。

どこまで任せるかの線を引きたい。 「AIに任せる」と「AIの答えを採る」は別の判断で2つの判断を分けたうえで、黙って従わせる範囲の設計は無関心圏という1938年の概念、承認を挟めば安全になるのかは確認の回数が増えるほど安全策でなくなる。

出力を信じてよいか、検証の手順を作りたい。 事実誤認の事業リスクはハルシネーションはどの程度のリスクか。自己点検と反論提示がそれぞれ逆向きに歪むことは「もう一度確認して」は固着を生む、判定を正答率だけで選ぶ危うさは見抜く力は超えた、疑い方は超えていない。

人の側に起きることが気になる。 AIを信頼している人ほど判断精度が落ちる、注意喚起では過信が減らないことは報酬設計を変えた実験、任せた人ほど自信を失う調査は依存と判断力の関係。

入れたのに効果が見えない。 どこまで入っているかを層に分けて測るなら「AI導入してます」の実態を測る3層、測れているかどうかが分かれ目になる話はAI投資の分かれ目は「測れているか」だった、出力は変わったのに成果が動かない場合は出力と成果を分けた分析。

規程・法令の側から決めないといけない。 自社がどの立場かを先に決めるなら開発者・提供者・利用者のどれかを決める順番、禁止条項の変更をどう読むかは禁止条項が消えても「解禁」ではない、調達・契約の確認は生成AI調達ガイドライン2.0。

何ができるかは、業務の一工程で考える

AIは一つの道具ではありません。分類や予測のモデル、文章や画像を生成するモデル、資料検索や計算の道具を組み合わせたシステムなどがあります。既存モデルを利用することと、自社データで新しく学習させることも、必要な準備が異なります。

Google DeepMindの2026年3月17日の評価枠組みは、生成と推論、記憶、学習などを別々の能力として整理しています。ILOの2025年分析も音声・画像・動画の生成能力を扱います。ただし、入力形式に対応しているだけで、目的の業務を正しく完了できるとは限りません。なお同分析の曝露推計は、職業の中にあるタスクが影響を受けうるという推計であり、失職者数の予測ではありません。

下表は、導入候補を具体化するための編集部の整理です。医療診断の精度や、全企業に共通する時間削減率を示すものではありません。

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使い方小さく試す課題確認する条件
分類・パターン認識問い合わせの担当候補、異常の候補を出す分類の定義、見逃しと誤通知、曖昧な案件
データの処理・分析入力の整理、集計案、分析コードの作成観測単位、元データ、計算、欠損、対象範囲
反復作業の支援定型資料の下書き、入力候補の作成例外、重複実行、権限、戻す方法
コンテンツ生成文案、翻訳、構成、画像、コードの候補原文との一致、目的、権利、採用基準
検索との組合せ社内資料に基づく回答候補正しい資料を取得したか、更新日、引用の一致

需要予測なら、過去と将来の条件が違う場合を考える必要があります。月次レポートなら、生成された文章と、元データの集計を照合します。計算を専用の道具で行うことと、AIが計算結果を正しく説明することも別に確認してください。

「できないこと」を、実務で見える限界へ置き換える

正しそうな文章でも、事実の保証にはならない

NISTの生成AI向けリスク文書(2024年7月26日)は、誤った情報を自信のある形で示す現象を扱っています。資料や引用を付けても、その出典が存在し、該当箇所が主張を支えているかは照合が必要です。

例えば製品の機能を回答させるなら、公式資料の確認日、対応する製品とプラン、条件を人が照合します。資料を検索するRAGという構成も、古い資料を正しい最新情報へ自動で変えるものではありません。

創造性や共感を、能力の有無の一言にしない

AIは文案や構成、表現の候補を作る支援に使えます。「真の創造性はないから創造的な仕事には使えない」という断定より、目的に合うか、新しい視点を含むか、他者の権利を損なわないかを評価する方が実務的です。主観的な理解や意識の有無を、この記事で決着した事実として扱いません。

共感的に見える返答も、相手の事情を正しく理解した証拠ではありません。丁寧な返信の下書きを作ることと、心理的な支援や重大な判断を自動で引き受けることは区別します。誰が相手の状況を確認し、必要な対応へつなぐかを残してください。

価値判断と責任は、仕様として渡すだけでは完結しない

複数の利害がある判断では、何を優先するか、どの誤りが重大か、異議をどう受けるかを組織が決める必要があります。AIに「公平に」と指示しても、その条件が決まったことにはなりません。

人の確認にも、見落としやAIへの過信があり得ます。担当者を一人置くだけで安全を保証せず、その人が原資料へ戻れる時間、技能、停止の権限を確保します。機密情報、外部操作、金額や権利への影響が大きい処理は、対応するルールと専門家の判断を含めて設計します。

高いベンチマーク成績は、そのまま自社の成績ではない

METRの時間地平は、人の専門家が要する課題時間に対して、AIエージェントが所定の成功確率で完了すると推定される範囲を測ります。主な対象は明確な成功条件のあるソフトウェア関連課題です。自社の対人調整、曖昧な依頼、例外処理に同じ成功率を当てはめることはできません。

モデルだけでなく、参照資料、入力、道具、設定、人の介入を含む一連の業務を評価します。仕様の更新や入力の変化があれば、前の成績がそのまま有効かも見直します。

全体92%でも、重要な群は80%かもしれない

次は架空の問い合わせ分類100件です。試験前に「定型」「曖昧」「専門担当への引き継ぎが必要」の三群を定義し、案件を重複なく割り当てたとします。合格は、担当候補または保留の判断が、事前に決めた正解と一致することです。

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試験群件数合格合格割合この群で見る失敗
定型6058約96.7%通常の分類誤り
曖昧252288%確認が必要なのに答えを決める
引き継ぎが必要151280%専門担当へ渡すべき案件の扱い
全体1009292%群ごとの結果も併せて読む
架空の問い合わせ100件を定型60件・曖昧25件・要引き継ぎ15件に分け、合格数58・22・12を別々に評価する図。全体92%と要引き継ぎ80%を分け、権限は別に決める
編集部の架空例。全体92%は100件内の観測割合で、製品の性能保証ではありません。群ごとの誤りを確認し、合格率とは別に自動処理の範囲を決めます。

全体だけ見ると92%ですが、引き継ぎが必要な群は12÷15=80%です。さらに「何が不合格だったか」を読まないと、重大な案件の見逃しと、慎重すぎる保留を区別できません。全体の割合が改善しても、重要な群が悪化していないかを見ます。

この100件から、将来の全件で92%になるとは言えません。対象期間、案件の選び方、群の件数、採点者、未採点の範囲を残してください。試験に合わせて設定を変えたら、まだ使っていない案件でも確認します。少ない重要ケースは、一件ずつ内容を読んで判断する必要があります。

時間短縮は、確認と再作業を含めて測る

品質条件が同じ100件を処理する架空例を考えます。現行の総作業時間は120分。AIを使う案では、AI処理に45分、人の確認に50分、確認後の修正・再作業に35分がかかったとします。それぞれ重ならない時間で、合計は130分です。

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方式処理確認修正・再作業総作業時間
現行内訳を含む合計として計測合計に含む合計に含む120分
AIを使う案45分50分35分130分

この条件では10分増えています。AI処理45分だけを120分と比べると、改善したように見えてしまいます。ここでは総作業時間を比べており、並行処理を含む顧客の待ち時間や、費用を測ったものではありません。

費用は利用料に加えて、導入、運用、確認、保守、失敗時の対応を含めます。時間を減らせても、利用料が増えたり必要な品質を満たさなかったりすれば、判断は変わります。AI導入の費用とデータ品質も合わせて整理してください。

能力と権限を分けた、三つの使い方

Levels of AGIが区別する能力と自律性を参考に、編集部は業務の実行範囲を次のように分けて考えます。論文のレベル区分をそのまま再現した表ではありません。

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範囲AIがすること人とシステムに残す条件
下書き案や分類候補を出す採用者が確認し、外へ出す前に承認する
条件付きの処理定めた対象で実行する対象外は保留し、記録、重複防止、戻す方法を用意する
停止・保留判断できない、入力や条件が崩れたと伝える担当へ引き継ぎ、確認後に再開条件を決める

送信、支払い、削除などの権限は、下書きの品質がよいだけで渡しません。NISTの文書は、入力に紛れた指示がシステムを意図しない動作へ導くプロンプトインジェクションも扱っています。参照資料を読ませる権限と、外部で行動する権限を分ける理由の一つです。

止める条件も試験に含めます。資料が取得できない、同じ操作が二重に要求される、担当を判別できないなど、正常な例だけでは確認できない場面を用意してください。

中小企業でも始められる、最小の評価手順

  1. 目的を一つ決める。 「AIを導入する」ではなく、「この工程を、この品質で処理する」と書く。
  2. 入力と権限を決める。 利用が認められた資料や架空データを使い、外部送信を伴わない範囲から始める。
  3. 評価案件を分ける。 通常、曖昧、重要な例外、対象外を含め、調整に使うものと最終評価用を分ける。
  4. 人だけの方法と比べる。 同じ対象、品質、集計期間で、確認と再作業を含めて測る。
  5. 失敗を読む。 全体の割合だけでなく、群、保留、見逃し、再作業の理由を確認する。
  6. 次の範囲を決める。 継続、範囲を狭める、仕組みを直す、導入を保留する、のいずれかを理由とともに記録する。

設定、資料、モデル、業務が変わったときには再評価します。運用担当、確認担当、最終判断の担当を分けておくと、「AIが出したから」と判断を飛ばしにくくなります。

First byteでは、AIで候補を作る、人の受け止め方や判断の偏りを確かめる、データと不確実性を読むという三つの視点を往復させます。これは編集部の進め方で、成功率を保証する手法ではありません。

役割分担はAIと人間の協働、責任の整理はAI倫理入門、導入の順序はAIプロジェクトの失敗を防ぐ、用語の入口はAIと機械学習の違いへ進めます。将来の能力の主張を読み解く場合はAGIの定義と評価も参照してください。

参考資料・引用元

本記事は2026年10月4日および10月8日に以下の一次資料を再読し、記述を確認しています。

  • Google DeepMind「Measuring AGI: a cognitive framework」(2026年3月17日). https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/google-deepmind/measuring-agi-cognitive-framework/ — 生成・推論・記憶などを別の能力として整理している
  • ILO "Generative AI and Jobs: 2025 Update". https://www.ilo.org/publications/generative-ai-and-jobs-2025-update — 曝露推計は職業内タスクの可能性であり、失職者数の予測ではない
  • NIST AI 600-1「Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative AI Profile」(2024年7月26日). https://nvlpubs.nist.gov/nistpubs/ai/NIST.AI.600-1.pdf — ベンチマーク成績を自社業務の正確さや権限の許可へ変換するものではない
  • METR「Time Horizons」. https://metr.org/time-horizons/ — 明確な成功条件のあるソフトウェア関連課題が主な対象である

よくある質問(FAQ)