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コラム

Google Marketing Live 2026から読み解く、AIネイティブ時代のマーケティング判断

2026年7月1日
最終更新: 2026年7月2日
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Google Marketing Live 2026から読み解く、AIネイティブ時代のマーケティング判断

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Google Marketing Live 2026から読み解く、AIネイティブ時代のマーケティング判断

広告・検索・コマース・計測が統合される時代に、企業が整えるべきもの

2026年5月、Googleは年次イベント Google Marketing Live 2026 で、Geminiを軸にした広告・検索・コマース・計測のアップデートを発表しました(日本時間では5月21日頃にキーノートが配信されました)。日本国内では、2026年7月2日にも Google Marketing Live 2026 が開催される予定です。

広告運用やWebマーケティングに関わる企業にとって、内容は重いです。米国本編の発表を踏まえ、国内向けの整理や検討が進むタイミングでもあります。ただし、この記事で伝えたいのは新機能の紹介記事ではありません

AI Mode上の広告体験、Ask Advisor、AI Brief、Asset Studio、Demand Gen、Universal Commerce Protocol、Meridianなど——名前だけ挙げれば一覧は長くなります。しかし、私たちが注目すべき本質はそこではありません。

今回の発表が示しているのは、マーケティングの執行が「人が管理画面を見ながら細かく調整する仕事」から、「AIが配信・生成・分析・改善の多くを担う前提で、人間が目的・前提・判断基準を設計する仕事」へ変わり始めている、ということです。

確かなこと: Googleは配信・生成・分析・改善の多くをAI側へ移そうとしている。

不確かなこと: 各機能が日本の広告アカウントでいつ・どの条件で使えるか(米国向け発表時点で未定のものも多い)。

この記事では、発表から読み取れる大きな流れと、企業が今考えるべき判断の視点を整理します。個別機能の国内導入可否は断定しません。

30秒で要点

  • AI時代、マーケティングの作業価値は下がり、判断を設計する価値は上がる
  • 広告・検索・コマース・計測は分断された施策ではなく、一つの判断の流れとして見る必要がある
  • 新機能を追う前に、目的・前提・成果の定義を言語化しておくことが先
  • AI BriefやAsk Advisorは、AIへの指示書提案の採否の重要性を象徴する
  • 施策の前に、判断を整える——それがこの記事の中心にある問い

用語意味
AI Briefブランド・ターゲット・目的・制約を自然言語でAIに渡し、配信や表現の方向を導く仕組み
Ask AdvisorGoogle Ads・Analytics・Merchant Center等のデータを横断し、対話で分析・提案するAIエージェント
AI Mode検索を対話型の意思決定支援として扱う体験。情報が「枠」から「回答の一部」へ近づく
執行レイヤー配信・生成・入札・改善など、実際に動かす層。GML 2026はここをAIへ移そうとしている

広告の仕事は「操作」から「判断設計」へ変わる

これまでの広告運用では、人間が多くの判断と作業を担ってきました。

キーワードを選ぶ。広告文を作る。入札を調整する。予算を配分する。検索語句を確認する。成果を分析する。改善案を考える。クリエイティブを追加する。レポートを作る。

自動化はすでに進んでいました。今回の発表から見えるのは、作業効率化の延長ではないという点です。

検索、YouTube、ショッピング、広告制作、計測、改善提案、コマース体験までを、Geminiを中心に再配線しようとしている。広告はユーザーが検索した「後」に出る枠ではなく、問い・比較・検討・購入の流れの中に溶け込んでいく。

運用者の仕事は、管理画面を触ることから、AIが適切に動けるように事業の目的と制約を渡すことへ移り始めています。

この変化は代理店やマーケターだけの話ではありません。経営、営業、商品設計、ブランド、Webサイト、顧客管理、データ基盤まで含む、マーケティング全体の話です。SEOの話でも、広告の話でも、単一チャネルの話でもありません。

混乱構造:なぜ「新機能リスト」だけでは足りないか

見えやすいもの見えにくいもの
発表された機能名とデモ自社が何を成果と定義しているか
競合が導入したという話題理想顧客と対象外の線引き
管理画面の数値改善問い合わせの質・粗利・受注率
AIが作ったクリエイティブの量自社らしさを守る採否基準

新機能が出るたびに「何を有効化すべきか」だけを追うと、操作は増え、判断はぶれやすくなります。GML 2026は、その構造を前に出したイベントだと捉えられます。

Google Marketing Live 2026が示した大きな変化

一言で言えば、Googleが広告・コマース・計測・クリエイティブの執行レイヤーをAIへ移そうとしている、ということです。

  • 検索: 単語入力から、状況付きの相談へ(AI Mode)
  • 広告表示: 枠から、回答・提案の文脈へ
  • コマース: 自社サイト遷移前提から、エージェント経由の購買へ(Universal Commerce Protocol 等)
  • 運用: 手動調整から、AI Briefのような自然言語の指示と自動最適化へ
  • 分析: 画面を跨いだレポート作業から、Ask Advisorのような横断エージェントへ
  • 計測: クリック直前の数字から、長期成果を含む経営判断へ(Meridian 等)

いずれも「AIを入れる」話ではなく、人間が渡す前提の質が成果を分ける構造です。

検索は「リンクを探す場所」から「意思決定を支援する場所」へ

従来の検索広告は、比較的わかりやすい構造でした。

ユーザーがキーワードを入力する → 検索結果に広告が表示される → クリックしてサイトへ → 比較・問い合わせ・購入。

AI Modeのような体験が広がると、行動は変わります。

「おすすめの洗濯機」ではなく、

「小さな子どもがいて、洗濯物が多く、夜に回しても静かな洗濯機を探している」

のように、自分の前提を含めて相談する。

「Webサイトを作りたい」ではなく、

「問い合わせが少ない。広告を出すべきか、サイトを作り直すべきか、まず何から考えればいいか知りたい」

のように、判断そのものを相談する。

このときマーケティングに求められるのは、目立つことではなく、問いに対して自然に、適切に、判断材料を提供できることです。AI-powered Shopping ads や Business Agent for Leads などは、この変化を象徴しています。

情報は体験を遮るものではなく、意思決定を進める中で出会うものになっていく。

広告は「枠」ではなく「回答の一部」になる

これまで広告は、検索結果・動画・サイト・アプリの中に設けられたに表示されるものでした。

AI検索が進むと、回答や提案の中に組み込まれていきます。

このとき企業に求められるのは、広告文の微調整だけではありません。

  • 商品情報は整理されているか
  • 価格・在庫・配送は正確か
  • どんな人向けかが明確か
  • 競合との違いは言語化されているか
  • レビュー・実績・利用シーンは整備されているか
  • ブランドとして伝えたい価値は明確か

AIが相談に答えるとき、自社の情報が曖昧なら、正しく選択肢に入ることは難しくなります。

施策以前に、商品・サービス・ブランド・Webサイト・データ構造を整える必要があります。SEO、広告、EC、CRM、ブランディングが分断されている企業ほど、課題は大きくなります。

エージェント型コマースが示す、購買導線の変化

Universal Commerce Protocol、Agent Payments Protocol、Universal Cart などは、エージェント型コマースの基盤です。

ショッピング広告が便利になる、という話にとどまりません。AIが相談を受け、商品を比較し、在庫や価格を確認し、購入まで進める世界への準備だと捉えるべきです。

従来のECは「自社サイトに来てもらう」前提でした。エージェント型コマースが進むと、ユーザーは必ずしも従来導線で買いません。

この流れが一般化すれば、企業側の準備も変わります。

  • サイトの見た目だけでなく、AIが理解できる商品データ
  • 商品説明だけでなく、構造化された情報
  • クリック率だけでなく、AIに選ばれるための前提整備

BtoBのリード獲得でも同じです。Business Agent for Leadsのように、広告内のAIが質問に答えながらリードを獲得する体験が広がれば、フォーム入力前に不安や疑問をどこまで解消できるかが重要になります。

必要なのは表面的な広告文ではなく、顧客の不安、よくある質問、比較ポイント、選ばれない理由、価格の納得材料、自社が対応できることとできないこと——こうした情報の整理です。

AI Briefが示す、運用者の役割の変化

GML 2026の中で、特に重いのが AI Brief です。

ブランド、ターゲット、目的、制約を自然言語で渡し、広告表現や配信の方向性を導く考え方です。AI Maxのような仕組みが進むほど、キーワードや広告文は厳密な命令というより、学習・判断のためのシグナルに近づきます。

そのとき重要になるのが、AIへの指示書です。

  • どんな顧客を理想とするか
  • どんな顧客は対象外か
  • どんな表現は避けるべきか
  • どの強みを前面に出すか
  • 価格訴求か、信頼性か
  • 短期CVか、長期ブランドか
  • 問い合わせ数か、質の高い問い合わせか

これらを整理しないままAIに任せると、数字上の成果を取りに行く可能性があります。

数字上は良く見える事業としては危ない
問い合わせが増えた質が下がり対応が破綻する
クリックが増えたブランド印象が薄れる
CPAが下がった粗利が残らない顧客が増える
広告文が大量に作られた自社らしさが失われる

AI Briefは単なる広告機能ではなく、目的・顧客・価値・制約を言語化する必要性の象徴です。

クリエイティブは「作れること」より「選べること」が重要になる

Asset Studioの進化も、同じ構造を示します。

AIにより、画像・動画・広告文・複数訴求を短時間で大量に作れるようになります。制作コストは下がります。

しかし重要なのは作れることではなく、何を採用するかの判断です。

AIはもっともらしい表現を大量に出せます。見た目の良い広告も、クリックされやすい言葉も、反応が出やすい訴求も提案できます。

一方で、人間が見なければならないのは、本当にその会社らしいか、届けたい顧客に届くか、短期反応で長期信頼を削っていないか、という問いです。

制作コストが下がるほど、表現はコモディティ化します。何を伝えるか・伝えないか・成果が出ても使わない表現は何か——この判断の価値が上がります。

YouTubeとDemand Genは、認知施策から需要創出の基盤へ

YouTube広告は、認知施策として扱われることが多かった。GoogleはYouTubeやDemand Genを、よりフルファンネルのパフォーマンスチャネルとして位置づけようとしています。

購買行動は検索だけで完結しません。動画、SNS、比較記事、口コミ、再検索、周囲への相談——数日から数ヶ月を経て購入に至ることは珍しくありません。

AI時代には、この流れはさらに見えにくくなります。最後のクリックだけを見てマーケティングを評価することは、ますます危険です。

上流施策をどう評価するか。短期CVと長期ブランドをどう両立するか。どの指標を経営判断に使うか。ここでも必要なのは、管理画面の操作ではなく、判断基準の設計です。

計測は、より経営判断に近づいていく

Meridian、Data Manager、Future Long-Term Conversions など、計測領域のアップデートも同じ流れの一部です。

AIが配信・入札・クリエイティブ・改善提案を担うほど、企業側には何が本当に成果につながっているかを見極める力が必要になります。

指標の定義:数字の前に分子と分母を揃える

見ている数字追加で見るべきこと
問い合わせ数売上・受注率・粗利につながっているか
CPA(獲得単価)単価・粗利を踏まえた許容コストか
CVR流入の質(検索意図・チャネル)が変わっていないか
広告費商品設計・サイト・営業のどこがボトルネックか

配信の細かい調整より、成果の定義と計測設計が重要になります。営業、顧客管理、商品設計、Webサイト、経営、データ基盤がつながっていなければ、AIに正しい学習材料を渡せません。

Ask Advisorが示す、広告運用の次の姿

Ask Advisorは、Google Ads・Google Analytics・Merchant Centerなどのデータを横断し、対話形式で分析・提案・キャンペーン作成支援を行うAIエージェントです(英語アカウント向けベータ等、提供範囲は段階的)。

便利です。同時に危うさもあります。

  • AIの提案は自社の方針に合っているか
  • 短期的成果だけを見ていないか
  • 売上だけを追い、利益を見ていないか
  • 大切にしたい顧客に届いているか
  • ブランドの見え方を損なっていないか

AIが優秀になるほど、人間の判断が不要になるのではなく、選択肢が増えるほど「何を選ぶか」を問われます。

AIによってマーケターの仕事はなくなるのか

半分は正しい感覚です。管理画面を操作すること自体の価値は、下がっていく可能性があります。

しかし、マーケティングの仕事がなくなる意味ではありません。人間に残る仕事はより上流へ移ります。

何を目的にするか。誰に届けるか。どんな顧客を大切にするか。どんなブランドとして見られたいか。何を成果とみなすか。何をAIに任せ、何を人間が確認するか。短期成果と長期信頼をどう両立するか。

単なる広告運用ではなく、経営判断に近い領域です。

AI時代ほど、前提設計が重要になる

AIは優秀です。しかし、何もないところから、その会社にとって本当に大切な判断基準を勝手に作ってくれるわけではありません。

問い合わせ数を増やしたいのか、質を高めたいのか。売上を増やしたいのか、利益を増やしたいのか。安さで選ばれたいのか、信頼で選ばれたいのか。短期反応か、長期ブランドか。

目的が違えば、正解は変わります。同じ数値でも、ある会社には成功、別の会社には失敗かもしれません。

数字の前に目的がある。目的の前に前提がある。

AI時代に重要なのは、AIを使うことそのものではなく、AIを使う前に自社の前提を整理することです。

AI時代のマーケティングは、より人間的な仕事になる

一見、AIによってマーケティングは機械的な仕事になっていくように見えます。実際には逆かもしれません。

作業がAIに移るほど、人間に残る仕事はより本質的になります。

自社は何を大切にしているか。どんな顧客と出会いたいか。どんな関係を作りたいか。どこまで効率化し、どこに人間らしさを残すか。短期的な数字と長期的な信頼をどう両立するか。

GML 2026は、広告の未来を示したイベントであると同時に、「自分たちは何を目的にマーケティングを行うのか」を問い直すイベントでもあったように感じます。

速く進めることと、正しい方向に進むことは別です。

First byteとしての見解

私たちは、AI時代のマーケティングにおいても、単に広告を配信する、サイトを作る、数値を改善することだけを価値とは考えていません。

企業が自分たちの目的を整理し、納得して判断できる状態を作ること。その前提があって初めて、AIも広告もWebサイトも、本来の力を発揮すると考えています。

GML 2026を見て、改めて感じるのは次の一点です。

マーケティングの価値は、操作から判断へ移っていく。

管理画面を触れること、広告文を作れること、画像を作れること、数値から改善案を出すこと——これらはAIに大きく補完されていきます。それだけを価値にすることは、難しくなっていくでしょう。

一方で、変わらず重要なものがあります。

何のためにマーケティングを行うのか。誰に届けるべきなのか。どの顧客を大切にしたいのか。どんなブランドとして見られたいのか。何を成果と定義するのか。短期と長期のバランスをどう取るのか。AIの提案をどこまで採用するのか。

これらはAIが勝手に決めるものではありません。最終的には、人間が判断する必要があります。そして、その判断をするためには、前提が整理されていなければなりません

施策の前に、判断を整える。

Google Marketing Live 2026は、その重要性を改めて強く感じさせる内容でした。

AIに任せる前に、まず整えるべきこと

新機能の国内導入を待たず、今から言葉にできることです。完璧なダッシュボードは不要です。1ページで十分です。

  1. 目的を1行で書く — 量か質か、売上か利益か、新規か既存か
  2. 成果の分子・分母を定義する — 何を1成果と数えるか、いつからいつまでか
  3. 理想顧客と対象外をそれぞれ3つ — AIに学習させたい輪郭と、避けたい輪郭
  4. AIに任せてよい範囲と、人が必ず見る範囲 — 入札・文案・予算・ブランド表現など
  5. 前提が変わったら見直す条件を1つ — 問い合わせの質、粗利、対応負荷など

これはチェックリストではなく、判断が壊れないための最低限の土台です。

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