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LLMO(AI検索最適化)

AI検索で「名前を挙げられる」ことと「選ばれる」ことは別だった|82%と97%が示す認知の壁

2026年8月25日
11分で読めます
AI検索で「名前を挙げられる」ことと「選ばれる」ことは別だった|82%と97%が示す認知の壁

この記事の結論

AI検索から名前を挙げられる頻度は増えているのに、問い合わせが増えないと感じていませんか。Scrunchの調査は、中堅サイトが AIの言及の17%を得ていても、実際の訪問シェアはわずか3%(97%は大手に集中)と報告しています。「言及される」ことと 「選ばれる」ことを分けて測る読み方を、公開データにもとづいて整理します。

AI検索で「名前を挙げられる」ことと「選ばれる」ことは別だった|82%と97%が示す認知の壁

「AI検索から自社名が挙がる回数は増えている。なのに問い合わせにつながっている実感がない」——LLMO(AIによる検索・回答生成に対してコンテンツを最適化する取り組み)やGEOに一定の手応えを感じ始めた担当者から、こうした声を聞くことが増えています。

AI可視性計測ベンダーのScrunchが2026年8月13日に公開した調査(原文)は、この違和感の正体を、数字で言い当てています。「言及される」ことと「選ばれる」ことは、別の現象として測る必要がある、という指摘です。

この記事では、Scrunchの調査データと、それを独立に取り上げたSearch Engine Landの解説記事(原文)、Google Search Central公式ガイド(原文)にもとづいて、引用は取れているのに問い合わせが増えないという状況を、どう読み解けばよいかを整理します。なお、この調査の対象はニュース検索に限定されており、著者自身が結果の一般化を戒めていることは、最初に断っておきます。

30秒で要点

  • Scrunchの調査(2026年8月13日公開)は、AIアシスタントが言及する媒体名の82%が大手、中堅は17%、ニッチは1%未満と報告している
  • しかし、名指しされたあとの訪問のうち97%は大手に集中し、中堅への訪問はわずか3%にとどまる
  • 著者はこの乖離を「読者認知ギャップであり、AI可視性ギャップではない」と結論づけている
  • AI会話の翌週に発生したニュースサイト訪問のうち、AIリファラを持つのはわずか1.1%。ただしこれを「98.9%がAI起因でない」と反転して読むのは誤りだと著者は明示している

用語意味
言及シェアAIが回答の中で、ある媒体名を挙げた回数の割合(分母:観測された全ての媒体言及、分子:特定カテゴリの媒体の言及回数)
訪問シェア名指しされたあと、実際にその媒体へ訪問が発生した回数の割合(分母:名指し後に発生した全訪問、分子:特定カテゴリの媒体への訪問回数)
AIリファラアクセス解析上で「AIサービスからの流入」と識別できる訪問

言及の17%を得ても、訪問の3%しか届かない

Scrunchの調査によれば、AIアシスタントが回答の中で挙げる媒体名のうち、82%は大手(Major)、17%は中堅(mid-sized)、1%未満がニッチな媒体だとされています。ここまでは、LLMOに取り組む中堅サイトにとって希望の持てる数字に見えます。全体の言及のうち2割近くを、自分たちのカテゴリが占めているからです。

しかし、その先の数字が違います。名指しされたあとに実際に発生した訪問のうち、97%は大手に集中し、中堅への訪問はわずか3%にとどまると報告されています。言及シェアでは17%を確保できていても、訪問シェアでは3%しか届いていない——分母をそろえて比べると、17ポイントの差が生まれていることになります。

この差をさらに裏づけるのが、リフト(名指しされた翌週の訪問増加分)の数字です。大手は名指しされた翌週の訪問が22.9パーセントポイント伸びるのに対し、中堅は8.6パーセントポイントにとどまると報告されています。同じように名前を挙げられても、その後の訪問への転換率には、大手と中堅で明確な差があるということです。

なぜこの差が生まれるのか、データからは分離できない

Scrunchの著者は、この乖離を「読者認知ギャップであり、AI可視性ギャップではない」と表現しています。AIが中堅サイトを見つけられていない、あるいは表に出していないという問題ではなく、AIに名前を挙げられたあと、読者側がその名前を選ぶかどうかで差がついている、という読み方です。

なぜ読者は大手を選びやすいのか。著者は、ライセンス契約の有無、媒体の著名性、情報への到達しやすさといった要因を挙げつつも、「データではこれらの要因を分離できない」と明記しています。つまり、原因を断定できる段階の調査ではなく、言及と選択のあいだに壁があるという現象そのものを示したデータだと理解するのが妥当です。

「AIリファラがほぼゼロ」を、そのまま「効果ゼロ」と読んではいけない理由

もう一つ、混同しやすいポイントがあります。Scrunchの調査は、AI会話が発生した翌週のニュースサイト訪問のうち、AIリファラ(AIサービスからの流入と識別できる訪問)を持つのはわずか1.1%だと報告しています。

この数字だけを見ると、「AI検索経由の流入なんてほとんどない」と結論づけたくなります。しかし著者は、これを「98.9%の訪問はAIが原因ではない」と反転して読むべきではない、と明示的に釘を刺しています。読者はAI会話で存在を知ったあと、そのままリンクをクリックするのではなく、あとで直接アクセスしたり、通常の検索で調べ直したりすることが多いためです。アクセス解析のリファラ情報は「その場でクリックされた経路」しか記録できず、「AIがきっかけで、あとから訪れた」という経路は見えなくなります。分母を「観測できたAIリファラ付き訪問」に絞ってしまうと、実際にAIが関与した訪問の多くを取りこぼす計算になるのです。

可視性は1つの問いではなく、3つの問いに分かれている

Scrunchの著者は、AI検索の可視性を次の3つの問いに分解しています。

  1. AIは自社サイトを取得し、正しく理解できているか
  2. AIはそれを回答の中で表に出しているか
  3. そのあと、読者は自社を選ぶか

多くのLLMO計測ツールが強く測れているのは、(1)と(2)——技術的なクロール可否や、言及回数のカウントです。ここまでの本記事の数字で言えば、「言及シェア17%」は(2)の結果です。しかし、実際の事業成果につながるのは(3)であり、これはアクセス解析やコンバージョンデータと突き合わせて初めて見えてきます。

なぜ「言及数」を最終ゴールと錯覚しやすいのか

この混同が起きやすいのには理由があります。LLMO計測ツールの多くは、AIの回答の中に自社名が何回登場したかを、比較的簡単に数値化して見せてくれます。ダッシュボードに並ぶ「言及回数」「引用シェア」といった指標は、更新されるたびに動きが見えるため、成果を実感しやすい指標です。

一方で、「その言及が実際の訪問や問い合わせにつながったか」は、AIリファラの計測が難しいこともあり、簡単には数値化できません。人は、測定しやすい指標と、本来知りたい指標が食い違っているとき、無意識に測定しやすい方を目的そのものと錯覚しやすくなります。「言及数が伸びている=成果が出ている」という読み方は、この錯覚の典型的な形です。ダッシュボードに表示される数字が動くこと自体が、施策の成否を示しているとは限りません。

Googleも同じ構造の注意を促している

Google Search Central公式ガイド(最終更新2026年7月10日)も、近い趣旨の注意をしています。「不自然なメンションの獲得は見かけほど有効ではない」としたうえで、コンテンツのパフォーマンス測定にはSearch Consoleの「生成AIパフォーマンスレポート(Generative AI performance report)」を使うよう案内しています。また、「内部のランキングやAIシステムにアクセスできるサードパーティツールは存在しない」とも明記しています。これはGoogle検索についての記述であり、ChatGPTやPerplexityなど他のAI検索サービスには当てはまりません。それでも、「メンションを増やすこと自体を目的化しない」という方向性は、Scrunchの調査結果と一致しています。

確かなことと、まだ確かではないこと

確かなこと:Scrunchの調査(2026年8月13日公開)が報告した、言及シェア(大手82%・中堅17%・ニッチ1%未満)と訪問シェア(大手97%・中堅3%)の乖離。名指し翌週の訪問リフトが大手22.9ポイント・中堅8.6ポイントであること。AIリファラを持つ訪問が1.1%にとどまり、著者がその反転解釈を戒めていること。Search Engine Landが同じ数値を独立に取り上げ、同様の結論に至っていること。

まだ確かではないこと:この調査はニュース検索に限定されたものであり、著者自身が一般化を戒めています。調査対象がオプトインパネル(AI利用に積極的な層に偏りやすい)である点も踏まえる必要があります。また、大手と中堅の訪問シェアの差が生まれる原因(ライセンス契約・著名性・到達しやすさ等)は、データからは分離できないとされており、断定はできません。加えて、Search Engine LandはSemrush傘下であり、Semrush自身もAI可視性計測ツールを販売しているため、この報道にも利益相反の可能性がある旨が記事末で開示されています。

判断軸の提示

LLMOの成果を確認する際の判断軸として、「言及シェアを追う指標」と「訪問・問い合わせへの転換を追う指標」を、最初から別の指標として設計することを提案します。

前者はAI検索ツールのダッシュボードで比較的容易に追えますが、後者はアクセス解析上のAIリファラだけでは捕捉しきれません。ブランド名での直接検索・直接アクセスの推移や、問い合わせフォームでの流入経路の申告といった、複数の手がかりを組み合わせて初めて近似できます。言及シェアが伸びていることを確認できたら、次に問うべきは「その言及は、訪問シェアや問い合わせにどれだけつながっているか」であり、この2つの問いを混同しないことが、施策の効果を正しく読むための起点になります。

言い換えると、KPI(施策の成否を判定する重要指標)を1本にまとめないことが重要です。「AI言及数」を唯一のKPIにすると、それが伸びるだけで施策が成功したと判断してしまいます。「言及シェア」と「訪問・問い合わせへの転換」を別々のKPIとして並べて追い、両者の間にどれだけの差があるかを定期的に確認する体制を組んでおくと、Scrunchの調査が指摘したような認知の壁が自社にも存在するかどうかを、早い段階で発見できます。

自分でも試せる、最小の検証

自社のAI検索対策の効果測定に、言及数・引用回数だけを使っていないか確認してみてください。もし言及数しか追っていない場合は、直近数ヶ月のブランド名での直接検索数、または直接アクセス数の推移を並べて見てみます。

言及数が増えているのに、直接検索・直接アクセスの数字がほとんど動いていないなら、それは「AIには見つけられているが、読者にはまだ選ばれていない」段階にある可能性があります。逆にこの2つが連動して動いているなら、言及が実際の認知獲得につながり始めている兆候として読めます。この突き合わせを一度行うことが、自社の状況を確認する最小の一歩になります。


この記事で扱ったような、AI検索対策の効果測定の設計を自社の状況に照らして整理したい場合は、無料診断ツールで状況を言語化するところから始めることができます。

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