メインコンテンツへスキップ
ブログ一覧に戻る
SEO・マーケティング

検索結果は世界で一つではなくなった|Googleのサイト評判ポリシーがEEA内外で分岐した意味

2026年9月8日
9分で読めます
検索結果は世界で一つではなくなった|Googleのサイト評判ポリシーがEEA内外で分岐した意味

この記事の結論

自社サイトやクライアントサイトの検索順位を継続的に見ている担当者に向けて、Googleが2026年8月に発表したサイト評判ポリシーのEEA(欧州経済領域)内外での分岐を整理します。同じ手動対策が地域で効果を変える事実と、DMA(デジタル市場法)との関係、順位レポートを読む際に増えた前提を発表文に基づき説明します。

検索結果は世界で一つではなくなった|Googleのサイト評判ポリシーがEEA内外で分岐した意味

「Googleの検索結果」と言うとき、多くの担当者は無意識に「世界共通の一つの仕組みが動いている」という前提を置いています。しかし2026年8月28日、Googleはこの前提を部分的に崩す発表を行いました。同じ手動対策(manual action)が、EEA(欧州経済領域)内のユーザーと外のユーザーとで、異なる効果を持つようになったのです。

この記事では、Google Search Central Blogの発表が実際に何を変えたのかを、発表文の記載に基づいて整理します。自社サイトやクライアントサイトの順位レポートを継続的に見ている担当者にとって、「その数字がどの地域のユーザーから見た結果なのか」という前提が一つ増えたことになります。

30秒で要点

  • Googleは2026年8月28日、2024年導入のサイト評判ポリシーについて、2026年8月30日から手動対策の効果をEEA内外で分岐させると発表した
  • EEA外では手動対策が該当セクションの検索結果に直接影響する。EEA内では直接適用されず、該当セクションがシステム上分離され、時間をかけて独立にランク付けされうるという別の扱いになる
  • 理由としてGoogleは欧州委員会との議論とDMA(デジタル市場法)を挙げ、「DMAの過度に広範な適用が検索結果の完全性への対処を妨げうる」と説明している
  • 手動対策の通知・再審査リクエストの仕組みは維持され、対象サイトは再審査後に紛争を調停に持ち込む機会も得る

用語意味
サイト評判ポリシー第三者コンテンツを信頼されたサイト上で公開し、そのサイトの評判を利用して検索順位を上げる行為を防ぐためGoogleが2024年に導入したポリシー
手動対策(manual action)Googleの担当者が個別に判断し、ガイドライン違反サイトの検索結果での扱いを人為的に変更する仕組み
DMA(デジタル市場法)EUが定めるデジタル市場の競争ルール。大規模プラットフォームに一定の行動義務を課す規制

これまで「一つ」だった判定が、なぜ分かれたのか

サイト評判ポリシーは、企業の公式サイトの一部を間借りする形で第三者が低品質なコンテンツを公開し、そのサイトの検索での評判を利用して順位を上げる行為に対処するために、Googleが2024年に導入した仕組みです。違反が見つかると手動対策が適用され、該当セクションの検索結果への表示が抑制されます。

2026年8月28日の発表で、Googleはこの手動対策の「効果」を地域によって分けると明らかにしました。発表文はこう述べています。「Beginning August 30, manual actions applied under our site reputation policy will have a different effect for those searching in the EEA than outside of it.(8月30日から、サイト評判ポリシーに基づく手動対策は、EEA内で検索するユーザーとEEA外で検索するユーザーとで異なる効果を持つようになる)」

具体的には、EEA外のユーザーに対しては、これまでどおり手動対策が該当セクションの検索結果に直接影響し、サイトの残りの部分は影響を受けません。一方EEA内のユーザーに対しては、手動対策の影響が直接適用されなくなります。その代わり、発表文は「the impact of the manual action won't apply. The affected section of the site may be separated in our systems so that, over time, it ranks independently from the rest of the site.(手動対策の影響は適用されない。該当セクションはシステム上分離され、時間をかけてサイトの他の部分から独立してランク付けされうる)」と説明しています。

「EEAでは効かない」と単純化してはいけない理由

この発表を聞いたとき、「EEA向けにはペナルティが効かなくなった」と受け止めたくなります。しかし発表文が実際に述べているのは、手動対策という仕組みが直接は適用されなくなる代わりに、該当セクションを分離して独立にランク付けするという、別の扱いに切り替わるということです。「ペナルティが効かない」と「別の仕組みで扱われる」は、似ているようで異なる状態です。

なぜこの混同が起きやすいかというと、「手動対策が適用されない」という一文だけを読むと、「何もお咎めがない」という結論に飛びつきやすいためです。しかし実際には、該当セクションが「サイトの他の部分から独立してランク付けされる」という状態そのものが、そのセクションにとって不利に働く可能性を含んでいます。独立してランク付けされるということは、母体サイトの評判という後ろ盾を失うことを意味するからです。原文のニュアンスを保ったまま理解する必要があります。

なぜGoogleはこの変更に踏み切ったのか

Googleは発表文で、この調整の理由を明確に述べています。「we remain concerned that an overbroad application of the DMA could prevent us from addressing real threats to the integrity of our search results(DMAの過度に広範な適用が、検索結果の完全性への実際の脅威への対処を妨げうることを、我々は依然として懸念している)」

これは、EUのデジタル市場法(DMA)が定める公正性・非差別性の要求と、Google側が「検索品質を守るために必要」と考える手動対策の運用との間で、緊張関係が生じていることを示しています。Googleは今回、EEA域内では手動対策を直接適用する代わりに別の仕組み(セクションの分離・独立ランク付け)で対応することで、この緊張を緩和しようとした、と読めます。

この記事は、DMAの法的な詳細や妥当性の評価には立ち入りません。ただし、Googleが「やらなくていい」と名指しした5施策の記事で扱った「Googleの言明や運用は規制環境によって変わりうる」という論点と同じ構造がここにも表れています。あちらの記事ではこの分岐を一例として簡潔に触れましたが、本記事はこの分岐そのものを主題として、その仕組みと理由を掘り下げています。

異議申し立ての仕組みは維持される

一方で変わっていない部分もあります。発表文によれば、手動対策の通知は従来どおりSearch Consoleに届き、対象サイトは再審査リクエストを提出できます。加えて「Eligible sites will, following the reconsideration request, also have the opportunity to bring disputes to mediation.(対象となるサイトは再審査リクエストの後、紛争を調停に持ち込む機会も得る)」という一文があり、異議申し立ての選択肢がむしろ増えていることが分かります。

確かなことと、まだ確かではないこと

確かなこと: Googleが2026年8月28日に、サイト評判ポリシーの手動対策の効果をEEA内外で分岐させると発表したこと。EEA外では手動対策が直接影響し、EEA内では該当セクションが分離され独立にランク付けされうるという違いがあること。理由としてDMAとの関係が明記されていること。通知・再審査リクエストの仕組みが維持され、調停の機会が追加されたこと。

まだ確かではないこと: この変更によって実際の検索順位にどの程度の影響が生じているかは、本記事が確認した発表文・公式フィードの範囲では報告されていません。2026年9月8日時点で、Google Search Central Blogの公式フィードに9月付の新しいコアアップデート・スパムアップデートの告知が無いことも確認していますが、これは今後変わりうる時事情報です。

自分でも試せる、最小の検証

自社サイトが手動対策の通知をSearch Consoleで受け取っている、あるいは今後受け取る可能性がある場合、その通知文に「地域(EEA内/外)による扱いの違い」について言及があるかを確認してください。加えて、順位レポートを見る際に「このデータはどの地域のユーザーから見た検索結果か」という条件を、レポートツールの設定画面で確認する習慣をつけると、地域分岐が実務に影響するかどうかの最初の手がかりになります。

判断軸の提示

「Googleの検索結果」を、地域を問わない単一の仕組みとして扱うのをやめること。手動対策のように、これまで世界共通だと思われてきた仕組みが規制環境によって分岐する事例が現に生まれています。順位レポートやガイドライン違反の通知を読むときは、「これはどの地域向けの扱いか」という前提を一つ増やして確認する必要があります。


この記事で扱ったような判断を、自社の状況に照らして整理したい場合は、無料診断ツールで状況を言語化するところから始めることができます。

状況を整理する(15分)

よくある質問(FAQ)

この記事の関連リンク