「うちのサイトの内容を、AIの回答に使わせない設定はありますか」と聞かれたとき、どう答えるでしょうか。
この問いに単一の答えを返そうとすると、たいてい外します。公式ドキュメントが提供している手段は、1つではなく2段に分かれています。サイトまるごと外すための専用の制御と、ページの中で量と範囲を刻むためのタグです。そして「AI専用」という性質を持っているのは前者だけです。
この記事では、2026年10月23日から24日にかけて公式ドキュメントを確認した範囲で、どの問いならどちらに行くのかを整理します。扱うのはタグ層の役割分担が中心で、サイト単位で全面的に外すかどうかの判断軸はAI検索に「載らない」を選べる時代:Googleの新設定と可視性の判断軸が扱っているため、そちらに預けます。
30秒で要点
- サイト単位の専用の制御は実在する。Search Console の「設定」→「Search generative AI」に置かれ、対象は AI Overviews・AI Mode・Discover 内の生成AI機能。公式ヘルプは2026年8月31日時点で全世界のすべてのサイトへ展開済みと記載している
- ただしこの制御は全部か無かで、量や範囲を刻む手段は提供されていない
- 刻む側はタグが担う。公式ドキュメントは
nosnippetが AI Overviews と AI Mode の直接の入力として使われることも防ぐと明記し、max-snippetは直接入力として使われ得る量も制限すると明記している - 範囲を選べるのは
data-nosnippetだけである。span/div/sectionの要素単位で「この部分は渡さない」を指定できる - 最大の落とし穴は robots.txt である。公式は指示を守らせる必要があるURLをクロール禁止にしてはならないと明記している。塞ぐと指示が読まれない
なぜ「AI用の設定」を1つ探してしまうのか
この問いで迷うのは、設定の知識が足りないからではありません。問いの立て方が、答えの形を決めてしまっているからです。
「AIに使わせない設定はありますか」という問いは、はい・いいえで答えられる形をしています。この形に合わせて答えようとすると、1つのスイッチを探すことになります。実際には、何をどこまで止めたいのかによって行き先が変わるため、問いを分けるまで答えが決まりません。
もう一つ、手段の名前が働きを隠しています。nosnippet は字面からは「スニペットを出さない設定」であり、AIとの関係は読み取れません。公式ドキュメントを開くと、同じルールが AI Overviews と AI Mode の直接入力も止めると書かれています。名前が指す範囲と、実際の適用範囲がずれています。古い解説記事を参照していると、このずれに気づく機会がありません。
止まる場所は2段に分かれている
公式の整理に沿って、2段を分けます。
1段目:サイト単位の専用の制御(全部か無か)
Search Console に、生成AI機能への掲載をサイト単位で管理する専用の制御があります。公式ヘルプによれば、置かれている場所は「設定」→「Search generative AI」で、対象は AI Overviews、AI Mode、Google Discover 内の生成AI機能です。
除外すると、それらの機能からトラフィックもインプレッション(表示回数)も受けず、クロールされたコンテンツはAI応答やプレビューを生成する入力として使われる対象外になります。公式は、この制御が検索の他の部分に影響するランキングや掲載の信号としては使われないとも記載しています。反映は制御が有効になってから1〜2日、キャッシュや伝播の都合でそれより長くかかる場合があるとされています。展開状況は、2026年8月31日時点で全世界のすべてのサイトへ、と書かれています。
ここで押さえるべきは範囲の限界です。公式ヘルプには段階的な設定の記述がありません。つまりこの制御は、サイトまるごと外すか外さないかの二択です。「トップページだけ」「製品情報の一部だけ」という刻み方はできません。
なお、AIの学習への影響はこの制御の対象外で、そちらは Google-Extended が扱うと公式ヘルプが明示しています。混ぜて考えると、止めたつもりの範囲を誤ります。
2段目:ページ側のタグ(量と範囲)
刻む側には、専用の仕組みがありません。スニペットの制御に相乗りする形で、AIの直接入力への供給量が決まります。公式ドキュメントの記述を、ルールごとに分けます。
nosnippet — 検索結果にテキストスニペットや動画プレビューを出させないルールです。適用範囲は「すべての形式の検索結果」で、具体例としてweb検索・Google画像検索・Discover・AI Overviews・AI Mode が列挙されています。そして、コンテンツが AI Overviews と AI Mode の直接の入力として使われることも防ぐと明記されています。
ただし全部が消えるわけではありません。公式は静止画のサムネイルについて別に触れており、利用可能なサムネイルは引き続き表示され得るとしています。「付ければ何も出ない」とは読めません。
max-snippet:[number] — テキストスニペットに使う最大文字数を指定するルールです。特殊値が2つあり、0 はスニペットなし(nosnippet と等価)、-1 はGoogleが最も効果的と判断する長さを選びます。この上限は、AI Overviews と AI Mode の直接入力として使われ得る量も制限すると明記されています。
ここに例外が1行あります。公式は、発行者が別途コンテンツ利用の許諾を与えている場合にはこの上限が適用されないと書いています。その「別途の許諾」が契約なのかプログラムなのか設定なのかは、このページには書かれていません。例外が明記されていることまでが、現在読み取れる範囲です。
data-nosnippet — HTMLページの一部分をスニペットに使わせないよう指定するHTML属性です。対象要素は span / div / section の3つ。ブール属性として扱われ、指定した値は無視されます。ページ全体ではなく範囲を選べるのは、この属性だけです。
塞ぐと守れる、という直感が逆に働く場所
実務でいちばん効く落とし穴がここです。
タグで指示を書いたうえで、より強く守るつもりで robots.txt でクロールを止める——この順番は、効果を打ち消します。公式ドキュメントは、これらの設定はクローラーがページにアクセスを許可されている場合にのみ読まれ、従われると明記し、続けてこう書いています。インデックスや配信のルールを守らせる必要があるなら、そのルールを含むURLをクロール禁止にしてはならない。
指示は、読まれて初めて効きます。塞いだURLの中に書いた nosnippet は、存在しないのと同じです。クロール禁止と掲載制御が別の層にあるという前提そのものは、robots.txt・noindex・認証の違い:公開と検索掲載を分けて守るが扱っているので、そちらを土台にしてください。
配信方法と競合の解決も、同じページに書かれています。robots meta タグで使えるルールはすべて X-Robots-Tag というHTTPヘッダーでも指定できます。ユーザーエージェント(クローラーの種類)を指定せずに書いたルールは、すべてのクローラーに有効です。そしてルールが競合した場合は、より制限の強いルールが適用されます。
効かない設定を入れて安心しないために
古い解説記事をなぞると踏みやすい3つを、公式の記述のまま挙げます。
noarchiveは、キャッシュリンクを検索結果に出すかどうかの制御にはもう使われていないnocacheは Google 検索では使われていないnositelinkssearchboxも現在は使われていない
いずれも「入れておけば安全」という判断で残りやすい設定です。効かない設定を入れた状態は、何も入れていない状態より危険です。対処済みという認識だけが残ります。
サイト側が動かせる範囲は、どこまでなのか
もう一つ、公式ドキュメントが線を引いている場所があります。AI機能に関するドキュメントは、AI Overviews や AI Mode に出るための追加要件や特別な最適化は無いと述べています。一方で、回答の裏付けリンクになる条件は「ページがインデックスされ、スニペット付きで Google 検索に表示される資格があること」とされ、インデックスと配信は保証されないとも書かれています。
つまりサイト側に提供されているのは、表示される情報を制限する手段(nosnippet / data-nosnippet / max-snippet / noindex)と、学習を制限する Google-Extended です。表示位置を制御する手段は、このページには記載がありません。
ここで注意が必要なのは鮮度です。このAI機能のドキュメントは、ページ記載の更新日が2025年12月10日で、robots meta タグのドキュメント(2026年3月24日)や共有の制御のドキュメント(2026年10月21日)より古いものです。1段目で見た Search Console の専用の制御は、このページの手段一覧には含まれていません。これはページが古いためと読むのが妥当で、「公式は専用の制御を用意していない」の根拠には使えません。
確かなことと、まだ確かではないこと
確かなこと:専用の制御がサイト単位で存在すること。それが全部か無かであること。nosnippet と max-snippet がAI機能の直接入力に効くと公式が明記していること。範囲を選べるのは data-nosnippet だけであること。クロール禁止にすると指示が読まれないこと。noarchive などが使われていないこと。いずれも公式ドキュメントの記載から直接確認できます。
まだ確かではないこと:max-snippet の例外にある「別途与えた許諾」が何を指すのか(公式に記載がありません)。Gemini アプリが専用の制御の対象に含まれるのか(公式ヘルプに記述がありません)。各AI機能が実際に何をどう使っているかの内部挙動(裏付けページの選定基準は公開されていません)。data-nosnippet を入れ子にした場合やJavaScriptで挿入した場合の挙動(今回の確認では扱っていません)。
なお、共有の制御のドキュメントは2026年10月21日が更新日として記載されていますが、何が追記されたかの差分は確認していません。言えるのは、2026年10月23日時点の本文にこれらの手段が載っていることと、ページの更新日が2026年10月21日であることだけです。
相談されたときに、まず分ける2つの問い
答えを出す前に、問いを2つに割ります。
- 「全面的に外したいのか、一部を渡したくないのか」。 全面なら行き先は Search Console の専用の制御です。一部なら行き先はページ側のタグです。この分岐を飛ばして「タグを入れましょう」と答えると、サイトまるごと外したい相手に手間だけ増やします
- 「止めたいのは表示か、入力か、学習か」。 表示と入力は同じタグで動きます(
nosnippetは両方に効きます)。学習は別の層で、Google-Extended が扱います。「AIに使わせない」という言葉は3つを区別しないため、相手がどれを指しているかを確認するまで、手段を決められません
そのうえで、量を刻むなら max-snippet、範囲を刻むなら data-nosnippet、ページ単位で全部止めるなら nosnippet、という対応になります。
自分でも試せる、最小の検証
15分で、自社の現状と認識のずれを確認できます。
- 自社サイトのトップページと、情報量の多いページ1枚のHTMLを開き、
nosnippet/max-snippet/data-nosnippetを検索する - 見つかった設定を書き出し、それを入れた理由を説明できるかを確認する。説明できない設定は、意図ではなく過去の慣習で入っています
noarchive/nocache/nositelinkssearchboxが入っていないか確認する。入っていれば、それは効いていません- robots.txt を開き、2で見つかった設定を含むURLがクロール禁止になっていないか確認する。なっていれば、その設定は読まれていません
- Search Console の「設定」を開き、生成AI機能の制御が現在どちらの状態かを確認する
4と5のどちらかで想定と違う状態が見つかったら、それが最初に直す対象です。設定を足す前に、いま入っている設定が読まれているかを確かめるのが順番です。
判断の土台として押さえておくこと
- 専用の制御は実在するが、刻めない。刻みたい問いは最初からタグの層にある
- 名前が指す範囲と適用範囲はずれる。
nosnippetはスニペットだけの設定ではない - 範囲を選べる手段は1つしかない。部分的に渡したくないなら
data-nosnippet以外に選択肢がない - 塞ぐことは守ることではない。クロール禁止は、指示を読ませない設定である
- ドキュメントの更新日を見る。同じ公式でも、ページによって10か月の鮮度差がある
より深く学ぶ
- AI検索に「載らない」を選べる時代:Googleの新設定と可視性の判断軸:サイト単位で全面的に外すかどうかの判断軸
- robots.txt・noindex・認証の違い:公開と検索掲載を分けて守る:クロール禁止と掲載制御が別の層にある理由
- Google AI Mode・AI Overviews対策ガイド(2026)|引用される構造の作り方:AI機能そのものの全体像
参考資料・引用元
- Google, "Robots meta tag, data-nosnippet, and X-Robots-Tag specifications"(ページ記載の更新日 2026-03-24 UTC). https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/robots-meta-tag(2026年10月23日確認)
- Google, "Control what you share with Google"(ページ記載の更新日 2026-10-21 UTC). https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/control-what-you-share(2026年10月23日確認)
- Google Search Console Help, "Search generative AI control". https://support.google.com/webmasters/answer/16908024(2026年10月23日確認)
- Google, "AI features and your website"(ページ記載の更新日 2025-12-10 UTC). https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features(2026年10月23日確認)